建築面積/5,984.79㎡ | 延床面積/21,096.76㎡
花巻市の中心市街地でリノベーション街づくりを推進している地域の一画に計画された総合病院の移転プロジェクトです。計画からおおむね5年をかけ竣工にこぎ着けました。
限られた敷地条件の中で、医療施設を中心に多機能を有機的に複合させることができたと考えています。病院棟・特定介護施設・通所リハビリゾーン・外部からも直接利用できるカフェ・看護学校・保育所・調剤薬局等が分散または分節し、さらにさまざまな手法でそれらをつないでいます。
施設は、街全体の賑わいが創出されるように、外部(街)と内部共用スペースとが視覚的に一体となる計画とし、既存樹木として残せなかった桜並木も一部新たに同種の桜の樹木を植樹し、かつての景観を継承する配慮をしています。
病院・特定介護施設は、災害時にトリアージのできる大屋根のキャノピーと中央待合ホールを中心に各機能が分かりやすく、シンプルな計画で、フラワーホスピタルを基本コンセプトに全体の色彩計画・インテリア・サイン計画を行いました。その結果、医療ゾーン・生活ゾーン・教育ゾーンと施設全体として人に優しさ安心感を抱かせる施設になったと考えています。
宮沢賢治と高村光太郎のスケッチ等の常設展示、賢治設計花壇の再現、スペースプレーヤーを使っての情報発信、看護学校から地域への情報発信の場としてのホール、公道と一体となった公開空池、また外部から直接利用できる佐藤記念ホール(多目的ホール)を含め、これらの施設が花巻中心市街地と融合し、花巻市活性化の拠点となることを強く願ってやみません。
(株式会社エスデー設計研究所 代表取締役 石井久克)